真夏の夜の夢

さてさて、温暖化だかヒートアイランドだか知らないが、ねちねちと照りつける太陽と纏わり憑く湿気どもが私を酷く憔悴させるのでありまして、とても耐えることが出来ない。エアコンディショナから突然水漏れが始まってからこの方、肥溜めのように腐りきった私の部屋はサウナの如くである。そこでテレビジョンを点灯させれば「現在、地球は温暖化の一途である、これは我々人類の責である、この40度を超える東京を見れば判るであろう」と豚のような男が仰っていた。何をこの豚が、貴様、豚が豚小屋でベラベラとCO2CO2と叫んでいる間に豚の小汚い口から歯垢を含んだ二酸化炭素が排出されており、新たな「そうだ!僕たち私たちが悪いんだわ!だってとてもエアコンディショナとかテレビジョンとかカーを使ったりしたし、それに毎日呼吸もしたわ!二酸化炭素!CO2!二酸化炭素!CO2!」といった可哀想な可哀想な二酸化炭素中毒を生むのである。

地球温暖化問題は過呼吸の方にお勧めです。

というどうでもいい話はいいのだけれども、突然思い立ったが吉日、この糞暑い中私はとぼとぼと家から歩いて厩橋まで。するとズバンッ、ジェロニモッ、といったような唄声が空に響き渡り、向日葵が飛び散った。浴衣姿の人々、団扇片手に林檎飴を頬張る子どもたち、隅田川の上で育まれた橙々。私はとても気分がよくなったのでパーラメントに陽を灯して紫煙を燻らせ、夜空に咲く虹彩たちの真似をしていたのであった。