さよならにチャンスを与えて

秋も深まってきた今日この頃、また知らぬうちに一ヶ月ほどが経過している始末、さてさていったい素晴らしき学生生活の夏はどこへ行ったのやら、また新しい出会いがあってその別れがあって、連続する日常に嫌気が差してもソーロング、その辺をぶらぶらしていたり。

ところで【めぞん一刻】という漫画を読んだりした。最近なんだか至って普通のラブコメディなるものを読むのが日課でしてまずは【虹色とうがらし】、そして【みゆき】、なるほど、妹との恋が非常に魅力的であることは判った、かといって妹など僕にはいないのでどうにかして義理の妹でも親愛なるダディが連れてきて、しかも12人もそんな女の子がやってきて口々にお兄ちゃんお兄様兄君様と叫んではくれないでしょうか、などと神様にお祈りしてみたりしているのであるが無駄なことであると思いなおす。

さてさて、では【俺の空】でも読んでみるか、と思いぺらぺらとページを捲っていると段々お嫁さん探しに行きたくなってきた。学生帽に黒マントを被り天に任せて放浪、道行く女の子たちとの出会いに思いを馳せるのである。ねぇ君お姉さんがいろいろとおしえて・あ・げ・る、うぅ…うぉぉぉ…俺は男だぞ!なんて毎日を素敵な時間に変えては男を磨き上げてゆくのである、最高。

でもほら僕といえば単なる学生でありまして一平君のように財力も知恵も勇気もないので諦めるのであって【めぞん一刻】を読み始めたのであるが、今度はおんぼろ下宿に住みたくなってきた。勿論管理人さんは素敵な未亡人。隣人は全て頭が狂っていて毎日狂乱、そんな中管理人さんに一途な想いを寄せる僕、たくさんの女の子たちの出会いの中で優柔不断な葛藤を繰り返しながら僕は言うのだ、管理人さん…一生僕に味噌汁を作ってくれないか!

そんな美しい夢想をしつつ現実にいる僕は考える、確かに僕は今おんぼろアパートに住んでいる、隣のOLお姉さんは毎日会社に行くとき挨拶を交わしてくれるし、管理人さんは綺麗であるとか若いであるとかは言えないけど愛想がいいし、真下に住んでいる女学生も可愛いし、意外にこれはまたまた何かしらあるんじゃないだろうか、と考えるだけでエンジョイだ。ふむ、それでいいじゃないか、きっと何かあるさ、そう信じて生きていこうよ。信じる者は救われる、って【めぞん一刻】にも書いてあったのであるし。


ただ何故このようにラブコメディを読み漁っているのであるかというと実は問題がありまして、隣のOLお姉さんが毎夜毎夜まだ僕のような青二才には耐えることのできないエロティックな淡い声色をあげているのでして、秋も深まるこの季節には酷く寂しく、ましてや僕のような孤独者はパソコンに向かうことしかできないのです、はい。

秋、最低。