はちみつとクローバー(映画)

余りにも怠惰な生活が過ぎているということで、渋谷に映画鑑賞と洒落込んだところ、「はちみつとクローバー」なる映画がやっていたので見ることにした。漫画では読んでいたこともあり元々興味はあり見ようと思っていた。原作ありの映画が面白かったことは殆どなかったので期待していなかったが、原作の世界観の復元を期待しなければそれなりに楽しめたのではないだろうか。

それはそれとして、私はこの映画には重要なファクタがあると感じている。

別に映画の中身がどうのこうの言うつもりは大してないし、それほど頭に残るような代物でもなかったのだが、ストーリのラストで森田が自分の作品を燃やしながら『俺は作品を燃やしているんじゃない、金を燃やしているんだ』というような意味のこと言うシーンがある。これは、個展に間に合わせるために作品として昇華せず、自分では納得のいかない作品を出展してしまい図らずも500万もの価値を付加されてしまったことに対する皮肉なのであるが、このシーンが非常に印象に残っている。

言っていることは、まぁ、言ってみれば大したことはない、到って単純な藝術に対する一般論であるし、単なる青臭い台詞だ。だが、映画の中では或る意味【柱】となるようなシーンであり、重要な部分であることは確かであると思う。(感情に訴えかけようと製作者側が必死になる場所でもある)

しかし、しかしだ。


そんなことを登場人物に言わせておいてである、その直後のエンディングでのテーマ曲が【嵐】なのである。これは勿論主役に【櫻井翔】を持ってきていることから来ている明らかな製作者サイドの商品価値的な意向であり、映画という作品に対しては全く関係のないレベルでの決定事項であろう。

別段それがどうのこうの言うつもりはないのであるが、酷くもの哀しい気分にさせるとともに、先ほどの作品を燃やすシーンをさらに印象的に、尚且つ一層鈍くさせているのである。