麻耶雄嵩「夏と冬のソナタ」

新本格といわれるミステリの旗手でもある麻耶雄嵩の二作目、信じられないほど詰め込まれたキュビズムに対する描写と、それが表す人間の客体性は、もはやミステリという枠組みでは語れない一つのジャンルを創り上げている。


『白鳥は 哀しからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ』


初めに書かれた若山牧水の有名な歌、これが表す意味と付加価値を考えるに我々は麻耶雄嵩が待ち得る潜在能力に畏怖する、これこそ孤独と客体性による究極の選択であり、白石一文が提示したそれとは比べ物にならないくらい哀しみに満ち溢れている。

是非手にとって考えて欲しい、何が起きていたのか。