未来に残したいゲーム(ファミ通1000号記念)

ファミコン通信が1000号記念の告知をしていたので、数年ぶりに買ってみた。読者が選ぶ未来に残したいゲームベスト100や、クロスレビュでプラチナを取ったゲームが全て載っており、それが目当てだ。先日の【心に残った小説ベスト10】しかり、そういうのが案外好きなのかもしれない。

ファイナルファンタジ、ドラゴンクエスト、マリオ、多くの名作と呼ばれてきたゲームたちがそこにはランクインしていた。クロスレビュのプラチナ殿堂入り作品も見てみたのだが、やはり、なるほど、と思わせるものが多い。ファミ通を毎週買っていた時代(小学生の頃)は、なんか任天堂作品がやけに殿堂入りしていたり、レビュアが皆一様に同じことを繰り返すのが詰まらなく感じていたが、確かにいろんな視点に立つと、面白いのかもしれない。(3D格闘にどうしても面白さを感じず、鉄拳ヴァーチャソウルキャリバなどが毎回プラチナであることにイラついていたのも確かなので、単なる私怨もある)

なんだか年を取るにつれてゲームをあまりしなくなってしまったけど、こういった企画を読んでいると、酷くノスタルジィな感覚に陥る。無駄に、もっとやりこんでおけばよかった…、と思ったりする。なんで海チョコボ作るのを諦めてしまったんだろう、なんで12時間クリアしてエクスカリバをゲットしなかったのか、なんでロケットランチャ無限の夢を断念したのか、と考えれば考えるほど後悔の嵐だ。

なんか最近はゲーム熱なんて真夏の夜の夢みたいに過ぎ去ってしまったけれども、ちょっと、もう一度、このベスト100に載っているゲームだけでもやってみようかな、と思った。




ということで私もまたこんなのをやってみた。

結構普通になってしまったけど、やはり面白いものは面白い。


未来に残したいゲームマイベスト10


1:グランディア

ファミ通では47位にランクイン。基本的にはRPG大好きであった私は、知り合いにたくさんの名作を教えてもらったのだが、グランディアをプレイした時の衝撃は凄まじかった。RPGゲームをする意義というのは、普段はすることの出来ない冒険を、ゲームの中ですることで快感を得ることだと思う。だから、どれだけ主人公に自己投影出来るか、感情移入できるかが私の中ではかなりのウェイトを占める。

そこを考えるに、本作の主人公であるジャスティンほどの逸材はいまい。冒険に憧れる少年、そしてそれを実行するだけの実行力、乗り越えなければいけない壁に突き進む勇気、少年たちがいつかは持つ淡い恋心。全てを兼ね備えていた。音楽、戦闘システムはさることながら、この大きな人間賛歌に私は砕け散り、心を打たれた。(ちなみにクロスレビュではプラチナでなかったらしいけど、それは最大の失敗だと思う)


2:魔界塔士SA・GA

ファミ通では85位にランクイン。幼すぎてあまり覚えていないのだけれども、やはり衝撃のラストシーン。ここまでパーティを成長させてきてくれたあなたなのですか。何故なのですか。と沸々と湧き上がる疑問を処理しきれずに、終わってからも考えさせられた作品。幼いながら、神とはいったいなんなのだろうか、と深く感じ入った。最後が一撃で終わるというのも、どういった意図だったのか、と未だにいくつもの「何故」が頭をよぎる。


3:花と太陽と雨と

アウトオブランク。実はこのランキングを執筆中に調べていて知ったのだが、シルバー事件なるゲームの続編らしい。私はプレイ経験はなし。ということで、別に前作をプレイしていなくてもまったく関係なく楽しめる作品だと思う(パロディ的な意味で前作をプレイしていた方が面白いのかもしれないが)。どちらにせよ、私は非常に楽しめた。雰囲気作りから、音楽、登場人物全ての台詞までがセンスの塊で出来ているようで、謎を解いていかないと全くわけの判らないシュールな展開も素晴らしい。こういう謎解きはいくらでも歓迎したい。


4:ジェットセットラジオ

アウトオブランク。これほどポップでキュートでアクロバティックなゲームがあっただろうか。ドリームキャストのコントローラを必死に捏ね繰り回して技を成功させていたのを今でも思い出す。何度も何度もトライして、勝利を得たときの気持ちよさは、どんなもにもかえがたい快感だ。


5:スペースチャンネル5

アウトオブランク。宇宙人に「踊りで勝負よ♪」といううららがとても可愛い。設定の作り込み方や、演出、音楽に至る細部まで象られたコンポジションは、クリエイタの強い意志を感じる。スイングガールズスペースチャンネル5を演奏された時は、なんだか懐かしさがこみ上げてきた。


6:ドラゴンクエスト5

ファミ通では9位にランクイン。父上が「おまえはこれでもやってうんこでしてろ」と仰ったので素直にやった作品。人間育成したりするのが好きな人は多いと思う。犬や猫のペットや、たまごっちにポケモン、極論で言ってしまえば子供も。そういったことを踏まえて、やはりドラクエ?のモンスタを仲間にするのは楽しかった。あとはなんと言っても、小学生に【結婚】という、まるで人生を決めさせるような選択肢を迫るという、ただのゲームとは思えない臨場感にやられたのは、誰の意見をとっても同じだと思う。誰もフローラを選ばないのも、同じ。


なんと まふみんが おきあがり
なかまに なりたそうに こちらをみている!
なかまに してあげますか?


 はい
⇒いいえ

7:ファイナルファンタジ7

ファミ通では2位にランクイン。最後までハラハラさせられる展開と、映画的とも言われる映像美によって、引き込まれてしまう。かつて、ヒロインが途中で死んでしまうRPGがあったっだろうか。おそらく、これも誰もが思ったはず。「いったいいつになったらエアリス復活するんだ?」と。ストーリが進んでいくにつれ「もしかして…」と思うのだが、「いや、まだ大丈夫、まだ、中盤」と自分を納得させる。「いや、まさか…」とセフィロス超究武神覇斬を叩き込みながらも思うが「まだエンディングじゃない、まだエンディングじゃない」と自分を納得させるのだ。結局、彼女は、いつまでも、闇の中だ。

ちなみにエアリスをパーティに入れたままクリアするバグもあるらしいのだけれども、それはやってはいけないと思ったりする。デートも、ちゃんとエアリスと行くべきだ、とも思ったりする。


8:街

ファミ通では38位にランクイン。絡み合うそれぞれが抱える物語が、観る者全てを虜にする。チュンソフトが作り上げた最高のサウンドノベル。若かりし頃の窪塚洋介が出ているのもご愛嬌。捻られたプロットを笑いと感動が包み込み、時にはバッドエンド、時にはハッピイエンドになりながら、人生というものの不条理さや、美しさについて、気付かされた作品である。


9:Rez

アウトオブランク。スペースチャンネル5も作った水口哲也の才能が発揮された意欲作。クレジットに「カンディンスキの魂に捧げる」という一文があるほどカンディンスキからインスパイアされており、コンセプトも「カンディンスキーのシナスタジア(共感覚)理論とレイブ体験の融合」となっている。音楽と、プレイヤが一体化して作り上げる一大視覚装置としてのRezは、一流のエンターテイメントであるとともに、感覚器官ともなるのだ。


10:Kanon

アウトオブランク。申し訳程度に入れているのであるが、最後に「そういえば入れなくては!」と思い出してしまったのだから仕方がない(おかげで先に書かれていた風来のシレンが消えてしまった)。ほとんど唯一やったことのあるギャルゲー(パッケージにはアドベンチャゲームと書いてあったが)で、あまりに素晴らしいストーリの交差に、震える手が止まらなかった作品。どのエピソードにもどんでん返しがついていて、その構成美には、感嘆の言葉しか漏れない。AirやりたりAirやりたい、と思っているのに、時だけが過ぎ去っていく。