なんでダイワハウスなんだ?

久しぶりにテレビジョンの電源をオンにすると下らないニュース番組が流れており、特にやることなすこともないのでぐだぐだと画面を見つめていると、綺麗な白人の女の子と男の子が幻想的な森の中で迷っているというシチュエーションのコマーシャルメッセージが目に止まった。

これは恐らくヘンゼルとグレーテルであろう、と思い見ていると、予想通り彼らはお菓子の家へと辿り着き、目を輝かし家の中にあるお菓子を食べていた。そして彼らはお菓子に埋もれた壁から見え隠れする文字を見つける。そこにはこう書いてあった、【DAIWAHOUSE】と。

まぁ、そこでヘンゼルとグレーテルは思うわけである、なんでダイワハウスなんだ、と。普通に考えたらそれは当たり前の思考順序で、もし私がその状況にいてもそう思うだろうし、むしろこれどんな宣伝だよ、とか考えるのだろうけど、それにしてもその普通さが異常であり、このCMのインパクトをより一層激しいものにしている。

恐らくこのCMを見て殆どの人は意味が判らないだろうし、ダイワハウスが何をしているのかも判らない。きっとここは家を作っているのだろう、くらいの判断はついても、どんな家なのか、何を売りにしているのか、全く予想は出来ない。しかし、それでも頭の中にダイワハウスは残る。なんでダイワハウスなんだろう、と。

非常に上手いな、と思うと同時に、私は或る種の芸術性を感じた。

理解することの出来ない【ダイワハウス】という響きが理不尽にCMに登場する人々を襲っている中、画面に映し出されるその不条理さにハテナマークを浮かべる我々、その主体性と客体性が混ざっていく瞬間に、私は全身に鳥肌がたってしまったのである。今日は、多分明日も、私の頭の中で【ダイワハウス】という文字がぐるぐると回り続けるだろう。



今日見たヘンデルとグレーテル編ではないですが、一応。

http://www.daiwahouse.co.jp/cm/