16歳の合衆国

16歳の合衆国 [DVD]


見忘れていた話題作を今更鑑賞しました。

一人の高校生が障害者の子供を殺してしまった理由を、時系列を過去現在と互いに追っていくストーリーで、人間の弱さから起こる裏切りや差別、そこから更に生まれていく哀しみを浮き彫りにしていく人間劇。各所に埋め込まれた答えのない問いを考え続ける哲学性が我々に何かを訴えかけ、衝動的に僕は二回も観てしまいました。


世界の見え方には二つある

背後に潜む哀しみを観るか

全てに目を閉ざすかだ


世の中は哀しみに象られていて、そこから目を背けることで我々は楽しさを見つけることが出来る、例えば一見完璧に思えるものでさえ、少しその笑顔の裏側を見ると薄汚れいて実際は脆く儚い、なんとなく最近話題の兄弟騒動とかを思い出してしまいました。「バルザック」の「谷間の百合」でも、


『苦しみは無限なのに喜びには限りがあります』


とありまして、元々全てが苦しみ(哀しみ)で象られているのだから、無限に続くそれらの中で目をそむける続けるには限界がある、ということなのかもしれません。非常に考えさせられる映画でした。


ところでこの主人公が誰かに似ているな、なんて思っていたら自分自身に似ていることに気付きました、オンナノコに向かいまして「Everything is gonna be OK」なんて一生言えないところとか。まぁ、だからと言って人を殺したりはしないと思いますが、72%くらいの確率で。