花粉とCO2

テレビなんて全く見ない私がたまたま電源を入れていると、スーパーニュースが放送中で、【今年の花粉状況】なる特集があった。どうやら今年の花粉状況が前年の三倍を記録しているらしく、まだ花粉症になっていないとはいえ、これからが心配になるなぁ、と思いながら飲むヨーグルトを飲んでいると、木村太郎がコメントしだした。

曰く「この花粉の問題も京都議定書的な問題である」と。

ハーバード大学の研究チームが「CO2の量を二倍にした空間で植物を育てるとCO2が植物を刺激し、活性化することで花粉の量も二倍になる」と発表したことを受けて、「だから日本国民の2割がかかる花粉症を治すためにも、CO2は減らさなければならない」と声を高々にしていた。

まず、私は、正直温暖化について詳しく知らない。よく環境問題の論文を読んでいると「CO2が温暖化を促進するという発表を世界に流布させたのはフランスで、それは原子力発電の正当性を認めさせるためである」というようなことも書いてあるし、地球のサイクルであるという意見も多い。実際、温暖化温暖化と叫ばれる昨今、この明らかな気候異常はCO2だけが理由とは思えない。

どちらにせよ、木村太郎の考え方は間違っているように思える。

間違っている、というよりも、矛盾している、というか。

まず、花粉が増えることによって確かに花粉症は増えるだろうけれども、もしそれがCO2のせいだったとしても、逆に植物が活性化することでCO2を削減できるのではないだろうか。ハーバード大学の研究チームによると「CO2が2倍になると、60%ほど花粉が増える」とのこと。これが事実であるとすると、植物は逆にCO2が増えることで活性化するのだから、CO2を防ぐ役割も持つ、ということだ。

つまり、単にCO2を減らすとかそういう問題ではなく、植物が育つ環境作りをすることが問題なのではないだろうか。それを「我々人間が苦しんでいるのは植物のせいである」かのような言い方で「その植物が活性化するのは大変だからCO2を減らそう!」とは、本末転倒な意見である。だいたい、無理な植樹を戦後に繰り返した挙句に、異常気象を発生させて、さらにそれをいかにも杉のせいにしておいて、結局CO2のせいですね、なんて無理のないような意見でまとめるのが現代の知識人の良識ぶりかたなのですかね。