リアス式海岸の見える船の旅お得パック―お一人様でも安心―☆】に申し込みまして、ささやかな週末を利用してちょっとした孤独な船旅に出てきた。今まであまり東北地方をじっくりと見学したことはなく、まぁ言ってみれば福島より上に行った思い出はスキーだけなのであり、少しばかり秋の海でもこの寂れた心に焼きつけたいと突然思いついた次第である。それなりの収穫というか、思うところもあった。


久しぶりにカモメだかペリカンだか知らないが巨大な怪鳥を発見するにあたり驚愕する。このとき我々は軽食を取っていたのであるが、この怪鳥は悪びれない様子で私が朝五時から愛情込めて作ったチョコレートペーストを挟んだ甘くてとろとろな名付けてスイートダーリンサンドウィッチに襲い掛かったのであって、まだサンドウィッチが奪われただけなら良かったのであるが、私の指ごと喰らおうとしたのか、小指の付け根あたりに怪我を負ってしまった。そんな私を見て憐れになったのか、隣の老夫婦から蜜柑という名の同情を貰う。


なんたら岩という名の海に浮かぶ幻想的な岩礁付近を通る。余りに美しいので写真に撮ってしまうのであるが、あとでフィルムを現像してみるとなんだか開脚真っ最中のインリンオブジョイトイが乗り移ったような岩である、と一人で納得してしまう。さすがオリンパスの名機【OM1】、見えてはいけない物までも写してしまうのである。(むしろorzに見えなくもない)


最後に鹿を発見する。一瞬ここは奈良であろうか、と考えたりするのであるが、否、岩手であると地図を見て考え直す。しかしながら旅行中にいつも後ろの席でビールを飲んでいたおじさんが餌付けしていたのは鹿センベイだった。新聞紙が混ざっているという噂である。私は突然鹿センベイツイストを踊りたくなってきたが、そこはもう子どもではないのでグッと堪えることにした。


そんな旅でした。